咳喘息の診断が容易になりました

たまには診療ネタです。遊んでばかりいると思われちゃいそうですから。

この頃、なぜか長引く咳でお悩みの患者さんが増えてみえます。わざわざ、清田団地以外の少々遠方からも来られます。どうもインターネットの呼吸器科での検索で、当院が引っかかるためのようです。咳くらいでしたら、そもそも内科というのは広く一通りの内臓疾患を診る科ですから、呼吸器科と標榜していなくとも、お近くの内科医院にかかられた方が便利なのに、と少々申し訳なく感じながら診察しています。わざわざ、遠方からありがとうございます。
 さて、来院された多くの長引く咳を訴える患者さんの原因はごく軽い喘息でした。いわゆる咳喘息です。喘息の定義はひらたくまとめると「気道の慢性炎症により、種々の程度の可逆性の気道狭窄と気道過敏性の亢進、そして臨床的には繰り返し起こる咳、喘鳴、呼 吸困難によって特徴づけられる。」というものです。
 長引く咳はまず、感染症や肺気腫、気管支拡張症、腫瘍などを除外診断します。その後、しばしば悩ましいのが風邪による気管支炎が長引いているのか、軽い喘息が感染後に誘発されてしまったのかの鑑別です。喘息はしばしば風邪により誘発されます。ヒューヒュー、ゼイゼイといった気道狭窄音が聞こえれば診断は容易なのですが、ただ乾いた咳が続く場合はしばしば悩むことがありました。
 ところが、昨年購入したNO測定機器のおかげで随分と診断が容易になりました。喘息の原因である、アレルギー反応による気道の慢性炎症があると、呼気NO(一酸化窒素)が増加します。これが思いの外、多くの患者さんに増加しておりました。そのような方に吸入ステロイドを中心とした喘息治療を行うと、2週間以上もお悩みだった咳が嘘のようによくなり、多くの患者さんに喜ばれました。半信半疑で導入したNO測定機器でしたが、非常に診断に役立つ有用なものだと感じています。
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